イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
あまりにも衝撃的な光景だった。

やんちゃな子供みたいに、腕をぶんぶん振り回して床に放置されたお祝いを掴み取ろうとする角倉さんの肩を、日浦が後ろから押さえている。もう必死の形相で。


「ていうか、私こんなおっきいのより金券が良かった~!持って帰るの大変なんだけど~。」


困惑と驚愕を通り越して、凍りついた表情を浮かべるのは、私だけじゃない。
上司も同僚も後輩も、みんながみんな、これは夢か、なにかのドッキリかと思ってるに違いない。

だって、総務部秘書課の角倉さんと言えば、ミスコンで入賞したこともあるほどの美人さん。おしとやかでいい匂いがして、日浦との結婚が決まってからますますその美貌に磨きがかかったとの噂で持ちきりだったのに。


「誰よこんな空気読めないお祝い買って来た奴!」


その彼女が、今や完璧な千鳥足で、毒を吐きまくっている。

私はディスられながら、呆然とする。

お酒で羽目を外す人はこれまでに何度か見てきたが、こんな風な悪態姿に豹変する人は、初めて見た。


「ちょ……、飲みすぎだらか!す、すみません!!なにか分からないけども大切に使わせていただきます!!」


必死でフォローしながら日浦が、角倉さんを引き摺るような格好で広間から退出する。
その状況を誰もが唖然とした表情で見つめる中。


「うっわ、やっちゃったね…。こりゃ旦那さんになる人も大変だあ」
「ほんと、悲惨過ぎる本性を披露しちゃったね」


同意見にすっかり意気投合したのか、真下さんと碓井さんが顔をしかめた。
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