イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
すると秘書課の女子が、周りを気にしながら手を口元に当てた。「あの子、酒癖が最悪なんですよ。だから飲み会には参加しないように、って秘書課では通達が出てるくらいで。」そのひそひそ話に、どうやら事情を知る秘書課の社員たちが頷いた。


「だ、だったらどうして今夜に限って解禁しちゃったんでしょうか…?」


という私の素朴な疑問に、真下さんたちも首がもげるくらい激しく同意する。


「彼女、嬉しくて仕方なかったんじゃないですかね。日浦さんにぞっこんですから。今夜は少しくらいなら、祝杯をあげても大丈夫だと思ったんじゃないですか?」


テーブルの周りが、しんとした。
おめでたいはずの飲み会に、ちょっぴり切なくも、どんよりと重たい空気が充満する。


「その読みは甘かったけどね」
「しかもぞっこんな彼に本性晒しちゃったしね」


真下さんと碓井さんが続けざまに言った直後。


「__良かったんじゃない?」


さっきから、石のように黙って座っていた鈴木さんが、突然発言した。


「毎日一緒に生活すれば、隠せないことだって出てくる。今のうちにお互いに嫌なところも小出しにしといた方が、いいでしょう。いろいろ」


同席する社員たちが、なるほどといったように、鈴木さんの意見に聞き入った。


「全然小出しじゃなかったですけどね。残念ながら」
「部長補佐、いつになく多弁じゃありません?もしかして、ご自分のご経験ですか?」


にやにやと下世話そうに笑いながら、碓井さんが切り込んだ。

“ご自分のご経験”__?


「はい。」


耳を疑うのは、もう何度目だろう。
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