イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
「辰巳さん、碓井さんともう一軒行くけど一緒に行こうよ!」
主役たちが姿を消してしまったので、宴会はお開きになった。
居酒屋の前で真下さんに、「私は、遠慮しておきます。」せっかくのお誘いだけど、お断りした。
「そっか。じゃあ、お疲れ様。また明日ね!」
「部長補佐、明日は遅刻しないでくださいね」
「…これから飲んだ暮れようとしてる人に言われたくないのですが。」
二人と別れ、私と鈴木さんは駅前を通って跨線橋を渡り、遊歩道まで来た。
それまで少し前を歩いていた鈴木さんは、減速し、歩調を緩める。私が追い付くと、ぴったりと寄り添うように、並んで歩いた。
水が流れてない噴水の周りは、とても静かで、私たちが刻む足音だけが、暗がりに響く。
背の高い相手は、ぼんやりと前方を見つめていた。なにを、考えているのかな。
脇見をしてたせいで、小石に躓いた。「あっ」肩が触れ合う。ぴく、と、鈴木さんの腕が微動した。本来触れてはいけない。今のは事故だ。「すみません…」
さっき居酒屋で、触れそうで触れなかった距離。
それが、私たちの間にある、当たり前の隔たり。
鈴木さんは既婚者で。私は自分でしでかしたことに責任と取って、部屋を貸してるだけ。夜道が不安で、送ってもらってるだけだ。
そうですよね、鈴木さん__
「…あの、鈴木さん、」
「デザート食べれなかったこと、悔やんでる?」
「…違います。その、」
「ん?」
気だるい眼差しのまま、目を合わせた鈴木さんは、にっこりと柔和に微笑んだ。