イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
「こんなこと言うと、君、いつもは真っ赤になって膨れるのに。まあ、あれはあれでグッとくるけど。」


口元を手のひらで覆った鈴木さんは、言いづらそうに口もごらせた。柄にもなく照れたように、どこか呆れたように。


「男にそんな可愛い顔、気安く見せちゃだめだよ」


こうやってまた私は、鈴木さんの本意ではない一挙手一投足に、翻弄される。

心にぽっかりと空いた穴に、どろどろに溶かしたチョコレートでも流し込めば、傷付いたことなんて全部全部、無かったことに出来るのかと思ったけど。
チョコレートを流し込んだら、両足が埋まってしまって。


「っ……」


握り拳を二個作って、太ももの脇で力ませる。


「これっ、大事にいただきますね!本当にありがとうございました!」


鈴木さんの手からタッパーを強引に奪うと、 急いで身を翻した。


「あの、いつ出ていかれますか?このアパート!そろそろですよね、新しいお部屋に入られるのって。その前に、このタッパー洗ってお返ししますから、安心してください。では!」


早口言葉みたいに言いながら、自室に入ってドアを閉める。
もう見えないから、鈴木さんがどんな顔をしていたのかなんて分からない。
いつものような、緊張感のないぼーっとした表情か、からかった後みたいに意地悪そうにほくそ笑んでるのか。

それとも、


『参ったな。そんな反応、反則です。』


本気で困ったように、眉を下げている__?

ドアに背中を委ね、 私はキウイ味のポップチョコをひとつ、噛み砕いた。
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