イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
真下さんから冷えたノンアルコールビールを受け取った角倉さんは、太陽よりも眩しい笑顔を日浦に向けている。
ちょっとした、気の迷いのようなものもあったものの。二人の結婚の話は、どんどん具体的に進んでいるらしい。


「人騒がせなカップルだなぁ……」


日浦の本心は、分からない。
だから言動だけで判断すれば、いい加減で最低な奴だ、とも思う。

でもきっと、人を好きになるのって、単純じゃないんだ。今まで恋愛に疎いから、気づかなかったけど。
自分の揺るがない気持ちはストレートに、ただ一人に向かっていたとしても、周りを取り囲む人たちの気持ちの線が、四方八方から延びてきて、自分のと絡み合って、綾取りみたいに交錯して。

陽炎みたいに、視界が霞む。

私だって、鈴木さんの奥さんにしてみれば…。略奪しようとした最低な女だと、思われるかもしれない。


『誰から聞いたの?それ』


鈴木さんは予定通り、このバーベキュー大会には不参加だった。
温くなった缶ビールを飲み干して、追加食材を届けに行こうとした矢先。


「……ん?」


お尻にこつん、となにかが当たる気配がして、私は首を背後に回した。すると、


「ワンワンっ!」


小さな、よちよち歩きの女の子が、甲高い声を上げ、私のポシェットを指差した。


「ん?ワンワンって……、これかな?」


私は地面にしゃがみこんだ。
ポシェットにからはみ出すように顔を覗かせていたそのマスコットを、顔の近くに持っていくと、女の子はぱっと口を真横に広げ、「ワンワンだぁ」あどけない表情で笑った。


「__里菜!こら、パパの傍にいなきゃだめじゃないか」


大声を上げながら、小走りで駆け寄ってきたのは総務部の部長だった。
里菜ちゃんをひょいっと抱き抱えた部長に、私は一礼する。
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