イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
お母さんが常備しているチョコレート、片っ端から全部食べてしまった。だってお母さんがあまりにも美味しそうに、幸せそうに頬張るもんだから、つい手が止まらなくて。

お土産にエクリュの、大きな箱入りのチョコレートも持ってった。それも二人で、ひとつ残らず平らげたんだ。結果、お腹が破裂しそうなくらい苦しい。


「明日の衣装、ワンピースにすれば良かったな…」


腹ごなしにとぼとぼ歩いて、アパートまで辿り着いた。
明日は、日浦と角倉さんの結婚式。

自分の部屋の、クローゼットに掛かるハンガーをひとつ手に取ると、そのハンガーに掛けてあるツーピースの濃いブラウンのドレスを体に当てて、姿見の前に立ってみた。


「うーん。ウエスト入るかな、これ」


最近、味覚が上手く、機能しない。
チョコレートをどんどんどんどん摂取しても、前みたいに美味しく感じなくなった。

しかしどうやら舌が、おかしくなっちゃった訳ではないらしい。甘いとか、カカオの味がするとかは判断できる。
ただ、以前のような感動するほど、喉から手が出るほど、っていう感覚が、湧かなくなってしまった。

あんなに大好きだったのに。中毒だと、自覚するほど。
この変化に自分でも、信じられない。


「よし、今夜は寝る前に腹筋100回!」


…て、無駄な努力かもしれないけど。

キッチンに戻って手を洗った私は、カウンターの上にあって、埃を被る度に洗い直す空のタッパーに、不意に焦点が合った。

心臓が、きん、となる。


「……っ」


そんなはずないんだけど、甘いチョコレートの香りが漂うような気がして、つい部屋中を見回してしまう。
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