イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
味覚が働かなくなった代わりに、ときどきこうして胸の奥が、ちりちり痛んだりする。
例えば、もう役目を終えてからりと乾いた噴水や、あと少しで落ち葉に覆われるであろうベンチや。
会社でボサボサ頭の、白衣の後ろ姿を見たときに。

まだもう少し、鈴木さんと共にした甘い感傷が抜けない。
長年のチョコレート中毒よりもずっと、深い。




「__辰巳さん、こっちこっち!写真撮ろうよ!」


翌日。

真下さんがデジカメ片手に、おいでおいでと手招きしている。今行きますと目で合図を送って、受付を済ませた私は、周りをキョロキョロと見回した。
大きなホテルのロビーには、職場結婚ということで、正装した会社関係の出席者たちで溢れている。


「余興、なにやるか聞いた?」


総務部の女子たちで記念写真を撮った後、私たちは会場に入った。聞き覚えのあるクラシック音楽が、穏やかに流れている。


「さぁ…、聞いてないです。同期の男子たちが夜な夜なカラオケでなにか練習してたみたいですけど」


自分の席を探しながら私が言うと、相手はわざとらしく顔を歪ませた。


「大丈夫かなぁ、また新婦さんからダメ出しされないかな」
「だ、大丈夫ですよ。さすがに今日はお酒は飲まないんじゃないですかね、角倉さん」


どんなに嬉しくても、今日という今日はぶち壊しにしたくはないだろう。と思っていると、真下さんが素早い動作で、私に耳打ちした。


「角倉さん、バーベキューのときもノンアルコールだったじゃない?実はちらっと噂になってるらしいよ。おめでたなんじゃないか、って」
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