イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
ホテルの前に常駐してるタクシーの、後部座席のドアが開いた途端。「さ、乗って。」背中を押し込まれた私は、つんのめりの体勢で乗り込んだ。
「ちょ、ちょっとどこへ!?」
まるで私の質問に答えるかのようなタイミングで、鈴木さんは聞きなれないマンションの名を、ドライバーに告げた。
すぐにタクシーは発進し、ホテルがどんどん遠ざかってゆく。
ふう、と溜め息をひとつ吐き、背もたれに深く身を委ねていた鈴木さんを、私は横目でちらりと盗み見た。
「あの…、鈴木さ、」
「君に、改めて説明したいのですが。宜しいですか?」
「せ、説明?」
声が上擦った。
狭い車内。カーブで肩が触れ合いそうになる。
「僕は父子家庭で育ったんだ。祖父が作った製菓会社を継いだ父には商才があったようで、幾つも営業所を作りに日本各地に出向いたよ。」
「は、はぁ…」
ど、どうして今、そんな話を……。
話がよく飲み込めないので、私は曖昧に頷いた。
「父の新しい勤務先に赴くために、僕は何度も転校した。顔が日本人離れしてるからか、友達がなかなか出来なくて。唯一の楽しみは、父がお土産で持ってくる自社製品のチョコレートだった。」
そこまで継ぎ目なく話した鈴木さんは、前屈みの体勢になって、流れては新しく入れ替わる、窓の外の風景を眺める。