イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
『僕は……。大切な人からの、プレゼントだったから、かな。』


じゃあ、あれって…。

頭の中で、光景が浮かぶ。
甘い匂いを漂わせたお土産を持ってお父さんが帰宅するのを、玄関の前で待ち侘びている、小さい男の子の光景が。

鈴木さんがチョコレートを好きな理由は、私と同じように。家族との思い出。


「あの、鈴木さんは、社長のご子息だったんですね。私知らなくて、すみません……」
「どうして謝るの?」
「だって、なんか今までご無礼をいろいろと……」


もじもじと、肩を上下させる私の方をちらりと見た鈴木さんは、こほん、と咳払いをして、窮屈そうに座席に座り直した。


「確かに経営者の息子だけど、僕は経営には関わりたくないんだ。新商品の開発だけをしていたい。だから周りには父のことを黙ってたから君が知らないのは当然だし、無礼だなんて思ったこともない。でも、プライベートが謎だからって理由で周りには勝手に捏造されるようになっちゃって。それはかなり迷惑。」
「……え、捏造、ですか?」
「結婚してないです、僕。したこともない」


当然でしょう、とでも言いたげな口振りだった。
でも、私には。


「け、結婚、されてないんですか!?」


寝耳に水で。
後部座席に座りながら、私の体は仰け反った。


「僕が結婚してるって噂の根拠は、恐らく年齢と役職がマッチしてないからだよね」


私の声とは対照的に、鈴木さんは平淡な調子で続ける。
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