イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
「だったら、なんであのとき……、否定しなかったんですか?」
『誰から聞いたの?それ』
真下さんの噂話を信じて勘違いしてた私に、鈴木さんはただそう言っただけだった。
だから、私は__。
忘れよう、って。
カカオみたいにほろ苦い記憶を全部、セピア色の思い出の彼方に仕舞わなきゃ、って。
膝の上でグーにする両手が、力みすぎて小刻みに震える。
信号が青になって、タクシーがまた動く。その弾みで前傾の姿勢になった瞬間、拳の振動が速やかに治まった。
「だって僕、結構ガンガン口説いてたのに君、あからさまに避けるから。もう望み薄かなって思ってかなりショック。もう激しく落ち込んだ。」
あまりにも動揺しているせいで、直視なんか到底できないんだけれども。
「……っ」
視界の隅に映る鈴木さんは、どこか不貞腐れたような顔で言った。
両膝の上で握った私の手の甲を包み込むように、手のひらを乗せたままで。
「誤解は解けた?」鈴木さんが、私の顔を窺い込む。
「…っは、はいぃ……」ほとんど吐息で私は答えた。
「良かった。じゃあこのまま君を、さらいます。」
私の返事などに耳を貸す余地などない、とでも言うように、きっぱりと、断言した。
『誰から聞いたの?それ』
真下さんの噂話を信じて勘違いしてた私に、鈴木さんはただそう言っただけだった。
だから、私は__。
忘れよう、って。
カカオみたいにほろ苦い記憶を全部、セピア色の思い出の彼方に仕舞わなきゃ、って。
膝の上でグーにする両手が、力みすぎて小刻みに震える。
信号が青になって、タクシーがまた動く。その弾みで前傾の姿勢になった瞬間、拳の振動が速やかに治まった。
「だって僕、結構ガンガン口説いてたのに君、あからさまに避けるから。もう望み薄かなって思ってかなりショック。もう激しく落ち込んだ。」
あまりにも動揺しているせいで、直視なんか到底できないんだけれども。
「……っ」
視界の隅に映る鈴木さんは、どこか不貞腐れたような顔で言った。
両膝の上で握った私の手の甲を包み込むように、手のひらを乗せたままで。
「誤解は解けた?」鈴木さんが、私の顔を窺い込む。
「…っは、はいぃ……」ほとんど吐息で私は答えた。
「良かった。じゃあこのまま君を、さらいます。」
私の返事などに耳を貸す余地などない、とでも言うように、きっぱりと、断言した。