イケメン上司と とろ甘おこもり同居!?
真剣な目差しが、まっすぐこちらに向かってくる。


「ホットチョコレートはやっぱ失敗だったな」
「っえ……」


目を見張る私から、ひょいっとカップを奪った。


「唇が塞がれてたら、キスもできない」


距離が縮まる。息詰まる。
唇が触れ合って、喉に残ったカカオの風味に、少しむせた。
カップを持ってない方の手で、肩を抱き寄せられ、体がビクッとなる。反動で、バッグが床に落ちた。


「僕と、こういうことするのは、嫌?」


まだ唇の表面が触れそうなすれすれの間隔で、鈴木さんが囁いた。

頭がくらくらする。
顔から火が出るほど熱い。


「…っ……」


恥ずかしいけど、でも……。
振り絞っても声が出なくて、代わりに首を小刻みに左右に振った。


「自惚れても、いいの?」


むせ返るほどの、甘い香り。
鈴木さんのチョコレートの匂いに、溺れてしまいそう。


「このドレスの色、僕を誘惑してるようにしか見えないのですが。」
「っ!」


もちろんブラウンは大好きな色だけど!
誘惑、だなんて…。


「困らせた?」


しどろもどろな私の至近距離で、鈴木さんの息遣いが聞こえた。
< 94 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop