うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜





「あっれー? 日曜なのに仕事なんですか? 課長」

 エレナの声に、了弥はデスクから顔を上げた。

「お前も仕事か」
と言うと、

「いいえ。
 お気に入りのリップを忘れて帰ったから、デートの前に取りに来ただけです。

 瑞季は?」
と訊かれる。

「友だちの家に行くとか言ってたが」
とつい、答えると、へえ、と笑う。

「詳しいんですね。
 日曜の動向にまで」

 しまった、と思っていると、
「私、課長とキスしたって、瑞季に言っちゃったんですけど」
と言ってくる。

 一瞬、なんの話だ、と思ってしまった。

「……忘れてましたね、課長」

 ちょっとプライドが傷つくんですが、とエレナが言う。

「瑞季、やはり、課長に気がある風に見えました」

 その言葉にどきりとしながらも、試すのにキスしたとか言うなよ、と思っていた。

「でも、瑞季は見張ってた方がいいですよ」

「なに此処から離れられない俺を不安に陥れようとしてるんだ……」

 ミスしたら、どうしてくれる、と思う。
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