うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
「瑞季に好きだとか言いました?
 あの子、変に自分に自信がないから。

 すぐに思考が変な方向に走るし」

 確かに……。

 食洗機の話でも思った。

 どうしたら、食器を洗いたくないから、レストランを開業するという話になるのやら。

 エレナはこちらの顔をじっと見たあとで言う。

「でも、もしかして、課長も自分に自信がない人なんですか?
 まあ、それはそれで、いいコンビですね」

 いいコンビなのか? と思っていると、
「でも、それじゃ、グイグイ押してくる男が出てきたら、なにもかも出遅れますよ」
と言ってきた。

 今、まさに、神田に出遅れそうになっているが、と思っていると、
「あ、もう時間だ」
と細い華奢なピンクのベルトの腕時計を見、じゃ、とエレナは出て行ってしまう。

 気持ちいいくらい勝手な奴だと思った。

 瑞季にはああいう勝手さはないから、そういうところが、いいコンビなのだろうな、とこちらもまた、思っていた。





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