うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
神田の車が何処へ向かうのかと思ったら、隣の市だった。
近いじゃん。
県内の何処か、みたいな感じに言ってたくせに、と思っていると、神田は空いているコンビニの駐車場に車を入れ、
「ちょっと朝日にかけてみるよ」
と言う。
すぐに電話はつながったようだった。
「今、何処」
『ゴルフ』
それだけで切れてしまう。
「仲がいいのね」
と言うと、なんで? と問われる。
「いや、今みたいな応対で、神田くんが怒らないと知ってるわけでしょ?」
まあね、とスマホを片付けながら神田は言う。
「今日は無理だな。
じゃ、ご飯でも食べに行こうか」
ええっ? と瑞季は声を上げた。
「あれで終わり!?」
もうちょっとなにかないの? と言うと横目に見ながら、
「意外としつこいね~。
なに、もしかして、あの晩のこと思い出して、やっぱりあの人がいいなとかって思ったとか?」
と訊いてくる。
「そんなんじゃないわよ」
と言うと、何故か、だろうね、と神田は言った。