うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
 



「あっれ~、また月橋エレナと居るじゃん」

 またどっから湧いてきた……。

 エレナが去ったあと、そちらを振り返りながら、笙が現れた。

「でも、ほんと。
 瑞季ちゃんが会いに行ったお友だちって、男かな、女かな」

 何処から聞いてやがったんだ、と思っていると、
「今日、何時に上がるの?」
と笙は訊いてくる。

「そうだな。
 まあ、五時くらいかな」

 今すぐ仕事を放って瑞季を追いかけたい気持ちになってるが、と思いながら、溜息をついて言うと、

「久しぶりにお前んちに行ってもいい?」
と笙が言った。

「だ、……駄目だ。
 片付いてないから」
と言うと、へえ、と疑わしげな目をこちらに向けてくる。

「お前が片付けてないとかないだろう。
 相楽さんならともかく」

 どんなイメージなんだ、瑞季。

 あれで結構ちゃんとしてるんだぞ、とかばいそうになる。

 だが、さっきのエレナのように、なんでそんなこと知っているのかと問われると困るので、黙った。

 しかし、笙はにんまり笑って出て行く。

「まあ、また今度、遊びに行かせてよ」

 そう言って。




< 178 / 328 >

この作品をシェア

pagetop