うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜



 じゃあ、お仕事頑張って、と言って、瑞季たちは廊下に出た。

「ねえ、言われた通り、朝日のことは言わなかったけど、あれでいいの?」
と神田が言ってくる。

「だって、よくわからない話だし。
 私が佐藤くんと最後に一緒に居たとか帰ったとか言ってる友だちも酔ってたかもしれないし。

 まあ、佐藤くんに話を訊いて、それでなにもわからなかったら、もうそれで終わりにしようと思って」

「全部終わりにするってこと?
 相手の男、わからないままでいいの?」

「そこまでやってわからなかったら、もういい。
 ……と思うことにした」
と言うと、そうだね、と神田は深く頷き、

「その話は、もうそこで吹っ切って。
 新しい恋に向かって歩み出した方がいいよ」
と言ってくる。

「新しい恋って?」
と振り向くと、神田は自分を指差す。

 ははは、と笑ったとき、
「あ、瑞季ちゃん」
と笙が現れた。
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