うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
瑞季は神田を連れて、自分のマンションに来ていた。
怖いから、という理由でついて来てもらったのだ。
「怖いって、自分ちでしょ?」
と言う神田に、
「だって、誰だか知らない人が鍵持ってるのに」
と言うと、
「君の初めての相手じゃない。
知らない人とか薄情だねえ」
と言う。
初めての相手でしょ、とか言われても、トイレットペーパーに、バーカとか書いて逃げる男に恋慕の情など湧いては来ない。
誰だか知らないが、おのれっ、と思うだけだ。
一緒にエレベーターに乗りながら、
「でも、なくなった鍵、その男が持ってるとも限らないわけだから。
誰か知らない人が住んでたりしてね」
と神田は笑うが、笑えない。
確かに落としただけなら、その可能性もありうるからだ。
「まあ、誰か知らない浮浪者が住んでたとして、その男が、相楽さんの初めての男だって可能性もあるけど」
と神田がロクでもないことを言ってくる。
「あのねえ、なんで、同窓会に行ったのに、見知らぬ浮浪者と……」
と言いかけ、瑞季は止まった。