うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
 



「……約束したのか」

 スマホを切ると、渋い顔で、了弥が言ってきた。

「だって、確かめておきたいから。
 あ、CM終わってるよ」
と了弥の後ろを指差したが、そちらを振り返らないまま、

「知ってる」
と言う。

「明日は俺、ちょっと忙しいんだよな」
と渋い顔のまま、言ってくるので、

「いやいや。
 ついて来なくていいよ。

 神田くんも忙しいみたいだから、ちょっと話すだけだと思うし」
と答える。

 そもそも待ち合わせたの、学校だし。

 そんなに長くも話せないだろう。

 DVDをちょっともらって終わりのはずだ。

 最後に神田と店を出たようだが、あの話しっぷりでは、おそらく、彼は関係ない……

 はずだ。

 気がつくと、テロップが流れていた。

『〜なのだろうか』
という疑問系で終わっている。

 了弥の後ろのその画面を見ながら、
「……また謎解けなかったね」
と最初からわかっていたことを呟いた。





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