最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
どこからか水音が聞こえてくると思った途端、それまで入り組んでいた視界がバッと開けて、巨大な噴水のある場所に出た。
ちょっとした池ぐらいの大きさはある噴水の、中央部の見上げるような女神像が肩に抱える水瓶から、天に向かって勢いよく水が噴き出している。
ここは庭の中心のはず。ええと、ここから抜けるには……。
「いたぞ! ここだ!」
次々と衛兵たちが迷路の道から姿を現した。
しまった!と思う間もなくグルリと周囲を取り囲まれてしまう。
追い詰められ、青ざめながら身を寄せ合う私たちを守るように、エヴルが腰の剣をするりと抜いて身構えた。
「貴様、抵抗する気か!? 斬るぞ!」
「それはこちらのセリフだ。キアラ様に刃を向ける者は、誰であろうと私が斬り捨てる」
エヴルの均整のとれた体躯の隅々に、一瞬で闘気が満ちた。
剣を振りかぶって襲いかかってきた衛兵に、素早く一太刀浴びせて身を翻す。
そして返す刀で背後の敵の剣を払い、横から突っ込んできた相手をギリギリ躱して斬り上げる。
舞を舞うようにエヴルの動きは美しく、そして一切の無駄がない。
まるでしなやかな黒豹のようだ。
細身で軽い仕様の長剣は、殺傷能力は低いけれども彼の機敏な動作を妨げることなく、存分に活躍させてくれる。
エヴルはね、本当に強いのよ!
剣術の稽古でも大会でも、これまで負け知らずなんだから!
ちょっとした池ぐらいの大きさはある噴水の、中央部の見上げるような女神像が肩に抱える水瓶から、天に向かって勢いよく水が噴き出している。
ここは庭の中心のはず。ええと、ここから抜けるには……。
「いたぞ! ここだ!」
次々と衛兵たちが迷路の道から姿を現した。
しまった!と思う間もなくグルリと周囲を取り囲まれてしまう。
追い詰められ、青ざめながら身を寄せ合う私たちを守るように、エヴルが腰の剣をするりと抜いて身構えた。
「貴様、抵抗する気か!? 斬るぞ!」
「それはこちらのセリフだ。キアラ様に刃を向ける者は、誰であろうと私が斬り捨てる」
エヴルの均整のとれた体躯の隅々に、一瞬で闘気が満ちた。
剣を振りかぶって襲いかかってきた衛兵に、素早く一太刀浴びせて身を翻す。
そして返す刀で背後の敵の剣を払い、横から突っ込んできた相手をギリギリ躱して斬り上げる。
舞を舞うようにエヴルの動きは美しく、そして一切の無駄がない。
まるでしなやかな黒豹のようだ。
細身で軽い仕様の長剣は、殺傷能力は低いけれども彼の機敏な動作を妨げることなく、存分に活躍させてくれる。
エヴルはね、本当に強いのよ!
剣術の稽古でも大会でも、これまで負け知らずなんだから!