Revive
「説明しましょう」


黙ってる俺を一瞥し、勝手に話をし始めた


まるで俺の心を読んでるようだ


「あなたは天界で過去を変える力が与えられる権利をもつ、くじに当選しました。しかもファーストクラスの」


「くじ?」


「そう……くじです。愛する人、家族、友人が死んだ場合、抽選できる基準値を満たしてる人に与えられるくじです」


「それに俺が当たったと……」


「それによりあなたは過去を変える……つまりは過去に戻れる力を得ることの出来る権利を得ました。あくまでも権利です。あなたにはまだ力はありません。断られることもあるのでね」


ラファエルは手の平を上に向けた


「これを見れば信じるでしょう?」


手の平が光に包まれ、光の中から銀色の腕輪が出てきた


「……すげー」


「信じました?」


「マジックの容量でどうにかなるもんでもないな」


俺はあっさり信じてしまった


「最初からこうすればよかったですね……」


俺に腕輪を投げた


「それが過去に戻れる装置です」


「えらく小さいな」


「まあ人間では開発不可能ですからね」


「だろうね」


「説明に戻ります」


さっきのテンションが嘘かのような淡々とした喋り方だ


「あなたは過去に何度でも戻れます。しかも彼女が死ぬ半年前までならいつでも戻れます。まあ未来に行くこと、つまりは一度過去に戻るとそこからの半年前の期間にしか戻ることしかできません」


「ちょっとまて……何度でも?」


普通1回とか3回とかだろ


「言ったでしょ。ファーストクラスが当たった……と。まあこれはつまり成功するまでやり直せる無限チャンスです。よかったですね」


「はは……そりゃいいや」


あまりにも条件が緩すぎて怖くなってきた


「あー、あともう一ついいことがあります。あなたはいわゆる神から絶対にうまくいく権利を得たわけです。そのためより成功に近づけるためあなた方には特殊能力が与えられます」


「は!?」


「過去に戻れてしかも特殊能力を得られる。神は実に思慮深い……感謝して下さいね」


チートだ……


「なぜそこまでする?お前達に何のメリットがある?」


ここまで至れり尽くせりだと何かしらの事が起きてるに違いない


「メリット……あー……ありません」


ラファエルはさらっと言った


「いや、ありますね。人間が幸せになることが神の幸せ。神の幸せは我々天使の幸せに繋がります。これがメリットです」


神様人柄良すぎだろ


あ、神だから人ではないか。神柄がよすぎだろ


「さて……説明は以上です。質問は随時受け付けます。力やその他のことは過去で説明致しますのでご安心を。あなたが過去に行ってる間も私はあなたをサポート致しますので」


「……」


俺は腕輪を右手首に付ける


すると銀の光を放ち始めた


「あなたは今から過去変えます。それはつまり未来を変えること。今のこの時間は無かったことになるわけです。ですがあなたの記憶は過去に戻っても消えません。ですので最良の未来を選んでください。期待しています」


「え……もう行くの?」


どんどん光が強くなっていく


「霧谷蒼葉さん」


ラファエルが静かに声をかけてきた


「彼女に何が起こったのか我々は知っています」


「……だろうな」


「しかしそれをあなたに言ってもなんの意味もありません。あなた自身が変えなければいけないのです」


「ああ……」


「たとえ変えられない未来だとしてもあなたは選択しなくてはいけない時がきます。その時に自分をしっかりもって、正しい選択をして下さい」


意識が遠のいていく


「ではでは!!無くしたしたものを取り戻すために!!よいReviveを!!!!いってらっしゃーい!!!」
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