乙女は白馬に乗った王子を待っている

「一週間分の朝ごはんを頂きました。」 

「満足してもらえた?」

「はい。」

「じゃあ、誘ったかいがあったなぁ。また、誘っていいかな?」

この食事を断るテはない。ゆり子はにこやかに笑った。

「ありがとうございます。でも、次はもうちょっと普通の店にして下さい。」

「僕には似合わないから?」

「え?」

「ゆりちゃん、会った時からびっくりしてたから。
 こんなオヤジがBMWを乗り回して、表参道まで車を飛ばしてはやりのカフェで贅沢なブランチなんてさ。」

「何ですか、その自虐的な言い方は。」

そういう物言いの方が東城らしい気がする。
それに、ゴージャスな東城は、やっぱりどこか借り物のような心もとなさがあって、気安くおしゃべりが楽しめない感じがした。

「実は、コレ、さやかちゃんにアドバイスしてもらったんだ。
 ホラ、この前、飲み会の時に別れたじゃない?どんなデートだったら喜ぶと思うって。」

「……ああ。」

言われてみれば、さやかが行きたそうなところだった。
雑誌に載っているようなおしゃれで(贅沢な)食事やドライブ。

さやかは、ブランチの後は何をプランしたのだろうか、ちょっと興味が沸いてくる。




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