乙女は白馬に乗った王子を待っている

今日も待ちぼうけだった。

何のメッセージも入って来ないケータイをじっと見つめる。

さやかは、ファミレスから帰りながら、小さくため息をついた。

大丈夫、高橋さんは仕事が忙しいだけ……。

ゆり子だってそう言ってたじゃない。
ここのところ、ゆり子だって十時前に帰って来る事はめったにないから、多分、忙しいというのは本当なのだろう。

大丈夫……。高橋さんは、いつも素敵なところに連れて行ってくれるし、この前の旅行だってすごく素敵なホテルだった……。
ずっと眠り込んでたのは、きっとくたびれてただけよ。


………


自分で自分に言い聞かせながら歩いている。
下を向くと、涙がじわりと出てきそうだったので、さやかは星を見ながら歩いていた。

「何、今バイトの帰り?」

後ろから声をかけられて振り向くと、翔太がひょろりと立っていた。

「翔太!」

思ったよりも弾んだ声がぽーんと翔太に投げられる。

「何だか久しぶりじゃない? 前はしょっちゅう会ってたのに。」

そうだ。
以前は、ウチに帰る時や、行き帰りの道ばたでしょっちゅう会っていたのに、この頃はさっぱりだったから、それも何となく「待ちぼうけ感」が増した原因かもしれなかった。



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