乙女は白馬に乗った王子を待っている
「なーに? 二人してオレの悪口で盛り上がってるの?」
高橋が幽霊のように背後からぬ〜っと現れた。
「社長!」
田中さんは嬉しそうな顔で叫んだ。
この田中さんだって、結局社長のことを慕っているのだ。
何と言えばいいのか……あの笑顔にみんな騙されてしまうようである。
「お元気そうで何よりです。月曜日からまたお世話になりますので、今日はご挨拶に伺ったんです。」
「田中さんが来てくれたら、百人力。心強いです。
今回は、僕のワガママを快く受け入れてくれて本当に感謝してます。」
何だか、アタシに対する態度とはえらい違いじゃない?
そりゃ、田中さんは、優秀でしかも性格がいい素敵なヒトですよ。
でも、こんなにあからさまに差をつけなくても……
急に不機嫌になったゆり子に気付いて、高橋は首をかしげる。
「何、何か、オレ、ヘンなこと、言った?」
「いや、別に。」
「なんか刺のある言い方だなあ。気に入らないことがあるならハッキリ言えよ。」
「いいえ!べっつに、なんでもありません!! 私は、仕事がありますので失礼します。」
席に戻りながら、ゆり子は落ち着かない気持ちでいた。
何かムカつく。