乙女は白馬に乗った王子を待っている
「え? じゃあ、高橋社長は?」
さやかはいっそう言いにくそうな顔になった。
「その……、夕べ、お別れしたの。」
「別れた!? ホントに!?」
「そ、それで……、翔太と……。」
「翔太とうまくいったんだ?」
「……うん、ごめん。なんか夕べそういう……」
最後まで言い終わらないうちにゆり子はさやかの手をがしっと握った。
「おめでとう! うん、さやかと翔太、お似合いだよ!」
「え?」
今度はさやかがキツネにつままれたような顔になった。
「だって、ゆりちゃん、翔太とつき合ってたよね?」
さやかに言われて、ゆり子は我に返った。
そうだ、私、翔太とつき合ってたんだ。
すっかり忘れてた!
「あ、いいの、いいの。そのことは気にしないで。翔太にもそう言っといて。
うん、じゃあ、私、今から急いで支度して会社に行くから。」
「え? 気分悪いんじゃないの?」
「そうだけど、ホント、仕事が溜ってるのよ。」
ゆり子はそれだけ言うと、大急ぎでシャワーを浴びて支度をした。