乙女は白馬に乗った王子を待っている
「オレはこんなもんしかなくて、すみませんねぇー。」
翔太は、いつものコンビニの袋と久保田をどん!とコタツの上に置いた。
「あれ!? この久保田、一番絞りじゃないの?」
高橋が驚いたような声をあげる。
「そうですけど、それが何か?」
「よく、こんなの手に入ったねぇー。これ、時期によってはすっごくプレミアつくんだよ。」
「そうなんすか?」
「何かね、小料理屋の亭主とかがうるさい客のために血眼になって探す一本らしいよ。」
「はあ。」
「オレは飲めれば何でもいいタチだから、オレにはもったいないなー……。でも、せっかくだから頂いてもいい?」
「も、もちろんです。どうぞ。」
「ちょっと、社長、私の分もとっといて下さい。」
ゆり子が口を挟むと、
「権藤はビールで十分だろ。ほら、今日は『ホンモノの』ビールにしたからさ。」
「やった! アサヒスーパードライだぁぁあ!」
ゆり子はビールの缶をプシューと開けた。
翔太が、心得たようにグラスをさっと四つ用意する。
「社長、ちょっと、気が利きませんよ? アタシがビールの缶を開ける時にはちゃんとグラスを用意してくれなきゃ。」
「失礼しました。」
高橋が謝ったところで、一同が笑い、何となく和やかな雰囲気でドラマが始まるのを待つことになった。