乙女は白馬に乗った王子を待っている
「面接の人、遅いですね…。もしかして、来ないんでしょうか。」

ゆり子が呟いたとき、バタバタと騒がしい音がしたかと思うと、茶髪を軽くカールさせた女の子がやって来た。

「ここ、派遣の会社ですか〜?」

ドアを開けるなり聞いてくる。

入って来た女の子は太めのボーダーの七分丈ニットに明るいピンクのフレアーのミニスカート、厚底サンダルという格好だった。

スカートから覗かせている、みずみずしくはりのある生足がゆり子の目に眩しい。

手足はお揃いのネールが施してある。ご丁寧にそれぞれの薬指についているぷっくらとしたハートのデコレーションもお揃いだった。

長いまつげとぷるんと膨れ上がった唇が人目を引く。バービーのようなメイクだった。

一瞬あっけにとられてぽかんとした後、ゆり子は慌てて返事をする。

「はい。グッドスタッフカンパニーですが、山村月星(やまむらるな)さんですか。」

「あっ!そうでーす。山村月星(るな)でーす。」


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