乙女は白馬に乗った王子を待っている
「高橋社長、研修……って、誰がやるんですか?」

「ここに権藤以外に誰かいる?
 山村さんが受け付け嬢として採用されなかったら、権藤の責任だからな。しっかり頼むぞ。」

「無理ですよ!社長だってわかるでしょう? 山村さん、めちゃくちゃじゃないですかぁ。」

「だから、研修するんだろ。」

いや、それはそうなのかもしれませんけどね。

「それに、受け付け嬢募集の依頼なんて来てるんですか? だったらあたしが行きたいくらいなんですけど!」

「来てる訳ないだろ〜。」

「はあぁ!? 仕事もないのに、はったり言ってしかも研修って……、何考えてるんですか、社長〜。
 しかも、交通費と研修費払うって言いましたよねぇ!?
 何でウチがそんな持ち出ししてまで、あんな山村さんなんかの面倒を見なくちゃいけないんですか!?」

「だから、オレは今から5日間以内に頑張って営業して、受付嬢の依頼を勝ち取ってくる。
 権藤は、山村さんを一人前の受付嬢に育てる。これで万事めでたしだろ?」

高橋は鼻歌を歌いながら出かける支度をした。

出かける時にちらとゆり子を振り返り、思い出したように付け足した。

「『あんな山村さんなんか』なんて言い方するな。山村さんは必ずいい受付嬢になる。
 可愛いし度胸もありそうだ。もし出来なかったら、それは権藤の研修が下手だ、ということだからな。」

高橋が出て行くと、ゆり子は頭を抱えてしまった。

山村月星(るな)を一人前の受付嬢にする……しかも、5日間で……。



無理だ……。



絶対に無理だ。

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