乙女は白馬に乗った王子を待っている
翔太とゆり子たちが仲良く行き来するようになったのは半年程前に遡る。
ある夜のこと、二人が家に帰って来てみると、家の中からごそごそと怪しげな物音が聞こえる。
空き巣!?と恐ろしくなった二人がどうしようか、と話していたところに翔太が帰って来た。
事情を知ると、翔太はあっさりと、
「じゃ、僕が入ってみますよ。」
と言って、ゆり子たちの部屋に入っていったのだった。
ドアを開けて中にいたのは―—、3匹のネコだった。どうもベランダからやってきたらしい。
なぜ、ネコが侵入してきた(しかも3匹)のかはわからなかったが、動き回ったときに、音がしたらしかった。
ふたを開けてみればネコ3匹なんて、笑い話でしかないのだが、ゆり子は、あの時の翔太の行動に心底安心したのだった。
何のためらいもなく入ってくれたことが心強くて嬉しかった。
それから、お礼にと言って、ご飯に呼んだり、田舎からの贈り物などを細々とやり取りしているうちに、すっかり気心が知れて、気楽に交流するようになったのだった。