乙女は白馬に乗った王子を待っている

ゆり子の予感は大当たりだった。

次の日、ゆり子は、二人ずつ二組に分かれて、挨拶のロールプレイを試みてみたのだが、山村月星が適切な受け答えができない。すぐに『はあ?』とか、『でもぉ〜』とか入れてしまうので、オバチャン三人組が次第にイライラしてきていた。

怒っても始まらないので、ゆり子はひたすら
「とにかく、そこにあるセリフを一字一句間違えずに言えるようにしてください。」
と繰り返したが、なかなか思うようにいかない。

相手をしていた村上さんが、とうとう切れてしまった。

「またやり直しですか。働きたいならもう少し真面目にやってもらえませんか。」

「そっちこそ、40過ぎて仕事なんてあると思ってるんのぉ。オバチャンのクセにエラソーにして。」

「挨拶もロクにできない小娘に言われたくないわ。」

あわや、四人入り乱れてつかみ合いのケンカになるところだった。ゆり子が必死で四人をなだめた。

「皆さん、落ち着いて! 落ち着いて下さい!」




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