眠れぬ森の美女
そういえば、ルイくんはどこにいるの…?
たしかルイくんが来た時もあの鈴の音がした。
"チリンッ"
私を呼んでいるかのように何度も鳴る鈴の音。
あの音を辿ればルイくんに会える…?
私はそう思い、部屋の扉に手を掛け、恐る恐る廊下へ出た。
まだ朝になっていないのか、廊下は暗く、そして、ひんやりとした空気に包まれていた。
身震いをしつつも、音に耳を傾けると、今度は玄関の方からではなく、廊下の突き当たりの方から鳴っているのが分かった。
私は音を追うように、廊下を進む。
進む度、音は近づき、私はお父様の書斎の前で足を止めた。
その扉の隙間からは微かに灯りが漏れており、人の気配を感じた。
鈴の音は止み、中からは…お父様の声がした。
「…お父様!」
私はてっきり、お父様が帰ってきた、そう思い、勢いよく扉を開けた。
"バンッ"
「おぉ、凛音。丁度いいところに来たな。客人を紹介しよう。」
私が扉を開けると、そこにはいつも通りにこやかに笑うお父様と3人の男達がいた。
男達は髪を拭いているところで、タオルで顔がよく見えない。
「嵐のせいで道に迷ったらしい。今日は泊めてあげることにしたから粗相のないようにな。」
胸騒ぎがする。
偶然なのかもしれないけれど、ルイくんが言っていたある『お屋敷』の話と同じ状況だったから。
こんな偶然あるものなの…?
「…まず始めにお屋敷の主が殺された。」
「え?」
すぐ後ろから声がし、ばっと振り向くとそこには微笑を浮かべたルイくんがいた。
「…今のどういうこと?あの『お屋敷』の話…なんだよね?」
「それは君自身の目で確かめればいいさ。」