眠れぬ森の美女
「…自分の目で…?」
ルイくんの言っている意味が分からない。
私の目でってどういう…。
これから何か起こるとでも言うの…?
「お前ら…突然何を……?!?!」
お父様の荒々しい声で私は我に返った。
ぱっと顔をあげるとさっきまでいたルイくんはもう既に部屋を出たのか、目の前から消えていた。
ルイくんはどこに…?
いや、そんなことより今のお父様の声、いったいどうしたのかしら…。
そう思い、私はお父様がいた方に視線を移す。
"ビシャアッ"
その瞬間、何か鈍い音と共に私の頭上を赤い雨が振った。
服や髪が赤く染まり、なんだか鼻がツンとする不思議な臭いがした。
そして、私の目には信じられないものが映った。
私の足元に目をギョロッとさせたお父様の首だけが転がっていたのだ。
「い、いや………いやあああああああああああ?!?!」
私は何も考えることが出来ず、その部屋から逃げ出した。