眠れぬ森の美女
「父親の次は使用人。」
ばっと振り向くとどこから出てきたのか、すぐ近くにルイくんが立っていた。
「さっきからなんなの?!なんでそんなに冷静なの?!」
怖くて、もういっぱいいっぱいで、気づくと私はルイくんに怒鳴り声をあげていた。
それなのにルイくんはさっきと変わらず、気味が悪いほどに微笑んでいた。
『俺は凛音さんを助けに来たんだ。』
ここへ来たばかりの時、彼はそう言っていた。
突然すぎて訳が分からないってそう思ってた。
それでも、彼に少しでもときめいたり、顔が熱くなったり…。
…少しはいい人なのかなとか思ったりすることもあった。
でも、今は本当に彼のことが分からない。
彼が怖いと思った。
「…どうして笑っていられるの?」
廊下も血で赤く染まり、もう誰が誰かわからないほど『生き物』ではないものが沢山転がっていた。
私はこの場に立っていられるのもやっとの状況なのに…。
そんな中笑っていられるなんて…。
ルイくんは異常だ。
「父親、使用人と来たらあとは誰が残っているかな。」
ルイくんにそう言われ、ふとお母様と弟のの顔が浮かんだ。
…まさか次はあの2人だって言うの?!
私は呼吸をするのも忘れるほど急いで2人のいる場所へ向かおうとした。
でも、よく考えると2人がどこにいるかなんて私には分からない。
…とにかく端から端まで探すしか…!
私がそう思った時
「…たしかあの事件では母親と弟は長女の部屋で殺されたような…。」
ルイくんは私の心の声が聞こえているのだろうか。
…本当にルイくんは何者なの…?