眠れぬ森の美女
"チリンッ"
突然頭に鈴の音が鳴り響いた。
…この音は何処から?
振り向くと、男が先ほどよりも近づいていることに気がついた。
…怖い。これ以上近づかないで!!
"チリンッ"
男の血まみれの手がこっちに向かって伸びてくる。
「…………近づかないでってば!!」
声を発すると共に目の前の風景が変わった。
真っ白で綺麗な天井。
「……なんだ。夢だったのね…。」
『夢』
あまりにも現実味がありすぎて…。
あのなんとも言えない血生臭さ。
ぬるっとしたお母様の血。
ぐたっとした血の気のない弟。
それから、見知らぬ3人の男。
近づいてくる足音が耳について離れない。