love square~四角関係なオトナ達~
「姫葵」


声に振り向くとあたしを探していたのか、少し息を切らしたパパが後ろにいた。


「こんな時間にこんな所で。風邪ひくぞ」


「うん…」


騒ぎを聞きつけて、きっとあたしを探していたに違いない。


工場の帽子と長靴を履いたままだった。


「どうだ?畑はいいだろ」


「うん…。土が冷たいね…」


「そうだな。ここの朝と夜は冷える。だけど太陽が昇れば射す光は緑を育て、地の熱は根を丈夫に育てる。姫葵もそんな風に育てたつもりだ」


「パパ…。あたしは…弱いよ…」


「弱さに気づけるから強くなれるんだ」


「あたし…強くなりたい…」


「なれるさ。さ、行くぞ。風邪ひくと困るからな。パパがおんぶしてやる」


「あたし…子供じゃないもん」


「オレから見れば子供だ」


「あたし、重いんだもん」


「姫葵くらい背負えなくてどうする。ホラ」


かがんだパパの背中にあたしは恐る恐る体を乗せる。


オイショ!というかけ声と一緒におぶられた景色は子供の頃に見えたそれと同じに見えて、とてもなつかしくなる。


背中に揺られながら、あたしはずっと気になってた質問をパパにぶつけた。
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