love square~四角関係なオトナ達~
…ん…?


風…?


エアコンもなくて空気清浄機もないのに…どうして風…?


外の匂いと一緒にあたしの髪を撫でるのは、昼間のポカポカ陽気を残した春の夜の風。


ベランダが開いてる、の…?


誰かがいるのかも、って。


頭の片隅にはドロボーかも殺人鬼かもなんて最悪のシナリオが浮かんでるくせに、フラつく足がベランダへ向かう。


───スッ


窓を少し開けてもしかして、って思った人影に体が強張る。


長身、男。


それだけしか情報が入ってこなくて、頭を巡るのは、あたしの遺影の写真はどんなだろうなんてくだらない心配。


───誰…?
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