隣の犯罪者?!

05

そんなこともないはずだ
私はとりあえずシャワーを浴びることにした
携帯の音が部屋に鳴り響く
「ちょっと皇夜いますぐお店に来なさい」
「はい?」
「なにマヌケな声をだしてるのよ
いい?今すぐよ」
携帯を置くと美咲が心配そうに見てくる
「皇夜?」
「マンションまで送る」
「一緒に行く」
「はあ?」
「皇夜なんかおかしいよ?」
一瞬迷ったような皇夜の表情
「しかたないか」
諦めたように言って歩きだす
外はもう夕闇に包まれていて少し涼しかった
皇夜のバイクに乗ってついたのはあのお店でお店の裏手から入り二階の事務所に行った
ノックをしてドアを開けるとあのオカマが座っていた
「げっ」
「げってなによ
今日はあなたに用はないの
皇夜どういうつもり?
ここ最近、無断欠勤があるみたいね」
「別に」
「あなたには価値がある
あなたはお金、私にしたら道具のひとつ」
「皇夜は物じゃありません」
「あなたは黙ってなさい
今日はなにがあっても帰さないから
わかった?着替えてきなさい」
皇夜は舌打ちひとつして隣の部屋に向かった
私もついていく
「ムカつく
私なんか間違ってるかな?」
「ありがとな
おまえぐらいだよ俺を物扱いしなかったの
つかいつまで居る気だよ?
着替えるんだけど」
「あっえっ」
別に私はかまわないけど
「仕事だから」
「皇夜」
私は皇夜に抱きついた
当然、抱きしめてくれるのかと思えばそうじゃなくて転びそうになった
「悪い遊びじゃないんだ」
「うっうん」
私はしかたなくお店を後にした
お店を出たところに牧さんがいた
「また君か」
「牧さん」
「この店は前から目をつけていたんだ
違法行為ばかりだときいてたからな」
私は鞄の中から写真を取り出した
「これ···」
「これをどこで?」
「あっえっ譲ってもらったんです友達から」
「捜査に協力してくれて助かる
今日、如月は?」
「えっわかんないです」
「もう1つ頼まれてくれないか?
今から店に入りたいんだが一緒に来てほしい」
私は渋々頷いた
牧さんと一緒に入店する
かかわりあいたくないなぁ
正直、憂鬱だった
牧さんはお客さんに色々と訊いてまわっている
私はダンスホールを見た
店長が出てきて言う
「今日はみなさんに私のかわいい犬を紹介するわ」
ぜったい皇夜だ
牧さんもそちらを見る
首に革の首輪、銀の鎖はオカマの手にあった
繋がれていたのはやっぱり皇夜だった
「如月、ずいぶんと堕ちたな」
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