溺れる恋は藁をも掴む
 「晶く‥ん」

 「俺は……
百合が好き。

 こんなに女の人を好きだって思ったの、初めてなんだ」

 「勿体無いよ‥‥私なんかに‥‥」

 「俺、絶対、大学受かるから!
 分かんない事勉強して、分かんないとこ知って、ちゃんと輝いて、百合に相応しい男になるから……」

 高校生の青臭いガキの精一杯の告白だった。

 百合は俺を見て笑った。


 「バカね……
受験生なのに‥‥‥

 約束だよ。
ちゃんとした男になるって」


 その夜、百合と結ばれたんだ。


 「これがきっかけでダメ路線に走ったら、許さないからね……」


 百合は俺の不慣れなキスに応えながら、そう言ったんだ。
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