これを『運命の恋』と呼ばないで!
「おいっ!何してんだっ!」


いきなり怒鳴り声が後ろから近づいてきた。


「こいつから離れろっ!」


サッと視界が遮られる。
驚いた視界に見えたのは、今朝からずっと私を叱ってた人が着てたスーツと同じ色の生地。

後ろに回された掌が服の袖を掠める。
手探りで位置を確かめた後、力強く手を握られた。


ビクッ!と心音が跳ね上がる。
背中を向けている人の名前を、心の中で呟いた。



(あおぞら…せんぱい……)



「俺の彼女が何かしましたか?」

「えっ!?」


京塚先輩が驚くような声を上げる。


「もしもそうなら謝ります。こいつ、そそっかしくて、いつもドジばかりなんで…」

「えっ!?」

「あ、あのっ、先輩!?」


誤解もいいとこだ。
これじゃ京塚先輩が完全に悪者っぽい。


「お前は黙っとけよ。ここは俺が丸く収めてやるから」

「お…収めてやるって……」


何から庇ってるつもり!?
そもそも、どうしてそう早とちりなの!?



「あ、あの、違うんです!」


手を握ってる人の腕に寄り掛かった。


「この人は悪い人じゃないです!そこの漬物屋の若社長さんで、私の大学時代の先輩ですっ!」


噛み付くように説明してしまう。


「えっ……」


振り返った先輩の顔が薄っすら青ざめる。


「で、でも今謝ってただろ!」


慌てて聞き直すし。


「それは、ちょっと色々とワケがあって。でも、何かをされた訳でも、ドジを踏んでもないです!」


< 100 / 218 >

この作品をシェア

pagetop