これを『運命の恋』と呼ばないで!
勘違いも甚だしい。
私のことを注意する前に、自分の早とちりのクセを直して欲しい。


「マジか。ヤバい……」


だよね、モチロン。


先輩は顔を引きつらせて振り返った。
青空先輩と私を見比べてた人は、困った様な顔をしてる。


「す、すみません!大きく間違ってました!」


潔いと言うか、この場合、他に方法ナシと言うべきか。


「まさか若山の知り合いとは知らず、とんだお邪魔をしました!」


では…!と肘を折り曲げて指を上に向け、急いで逃げ出そうとする。

パッと離された手が急に寂しくなり、思わず後を追いかけた。


「先輩、待って下さい!私も戻りますから!」


これだけ場を崩しておきながら自分だけが逃げようなんてズルい。

私を一人にしないで欲しい。
行くなら一緒に行かせて欲しい。


「あ、あの、京塚先輩また。失礼します!」



急ぎ足で行く先輩の背中を追っかける。
この瞬間が、何故かすこぶる小気味いい。


勘違いとは言え、『俺の彼女』発言を聞いた。


ホントに彼女になりたい。

なれたらもう、いつ『死んでも構わない!』ーーー




「先輩、待って下さいよ!」


足速いな。
もう少しゆっくり歩いてよ。


「待てるか。お前が道のど真ん中で頭をペコペコ下げてるから恥かいただろうが!」

「それは先輩が勝手に早とちりをしたんであって、私の責任にされても困ります!」

「煩い!この際、お前の責任みたいなもんだ!」

「そんな、それはあんまりです!」

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