悲しみの果てに

••苳吾


綾香さんが、安定期に入るまでは
騒ぐ事も出来ずに過ごした。

安定期に入って
直ぐ、極秘に離婚をした。

俺は、綾香さんに会うこともなく
父親と四井さんと会って
話を決めた。

四井の両親と有沢の両親とも、
俺に詫びてくれた。

幸い綾香さん自身が、
幸せそうなので良かった。

相手の男性も
とても、喜んでいて
四井家に婿入りするみたいだ。

病院側と製薬会社側の体裁を
考慮して、離婚と妊娠の話しは
今しばらく、伏せる事にした。

父も母も、改めて俺に詫びてくれたが
「自分が、直ぐに報告していなかった
俺が悪いんだ。」
と、俺は言った。

両親から、
「彼女に会わせてほしい。」
と、言われたが
「綾香さんの妊娠で
俺に裏切られた
と、思ったんだろう
それに
俺と綾香さんと子供の幸せを
壊したくなかったのだろう
姿を消してしまった。」
と、言うと
母さんは、涙をながしながら
「辛かったでしょうね。」
と、言った。

俺は、ひそかに鈴菜を探していた。

鈴菜が、とても気にいってた家だ。
手放すはずがないから
定期的に訪れていた。

俺の離婚が
公になった時には
大西も新垣も
有沢総合病院を辞めていた。


鈴菜が姿を消して
二年が過ぎ‥‥‥

最初の一年は両親とも
鈴菜を待っていたが
今では、見合いの話しとかを
持ってきて、俺と喧嘩になっていた。

まぁ、何と言われても
鈴菜以外と結婚するつもりはない。
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