俺様彼氏はShy Boy?
そんなあたしを見て、何かを思い出したかのように『あっ』と声を出す。
「どうかしたの?」
「ん、ああ。今日の放課後…」
あぁ、先約があるって言ってたっけ。
「また美佳に相談があるって言われてっから、比奈はちゃんと寄り道しないで帰れよ?」
「……美佳、と…帰るの?」
「だから、そうだって言ってんだろ」
何回も同じこと言わせるんじゃねぇ。と少し不機嫌になる海斗だったけれど。
今のあたしには、海斗の言葉はまったく聞こえなくなっていた。
今ここで。
海斗の口から美佳の名前が出たことに、動揺してしまう。
「もしかして……昼休みも、一緒にいたりしないよね?」
恐る恐る海斗に視線を移しながら、否定の言葉を言ってほしくて海斗の瞳をしっかり見つめた。
「昼休み……そういえば美佳も一緒だったな」
だけど、その言葉にあたしの中でまたモヤモヤする気持ちが湧き上がってくる。
「…そう、なんだ」
「だから何? おまえだって男と一緒にいただろ?」
急に不機嫌な口調になって、見据えた瞳に鋭さが増したような気がした。
「男…って。友だちだもん」
「美佳だって、おまえが言う“友だち”なんじぇねえの?」
そう言われてしまえば、もう何も言えなかった。
「そうだよね…」
その言葉のあとは、二人とも何も話すことはなった。
授業が終わるチャイムが鳴って、
海斗が空き教室を出て行く後姿を見送ってから。
あたしも教室をあとにした。