俺様彼氏はShy Boy?
「別れてよ」
ほらね。
あたしに海斗と別れて自分に譲れと言う意味だって。
「……いや」
それだけ言ってその場から逃げ出そうとしたのに。
美佳の言葉に、その足は動くことなく止まってしまう。
「相手にされてないくせに」
フッと馬鹿にしたような笑いと、哀れんだような瞳。
「そんな幼児体型には、欲情しないって」
クスクス笑ってる美佳は、あたしのつま先からゆっくりと視線を移していく。
ほらまた、あの勝ち誇った笑みをして。
「ねぇ、奪っていいよね?」
「………」
「シてるときの海斗…いつもみたいに余裕がなくて、可愛いと思わない?
…って、知るわけないよね。だって…――」
美佳の言葉を最後まで聞かずに、あたしはその場から走り去った。
あの後に続く言葉。
聞きたくなかった。
だけど、美佳があの後何を言おうとしたのか想像できてしまう。
海斗があたしに手を出さないって。
美佳はどうしてそのことを知っていたのか。
未来にだってついさっき初めてそのことを言ったばかりなのに。
どうして……