俺様彼氏はShy Boy?
先生のこと。
好きだといえば好き。
だけど、それは恋愛とかじゃないんだ。
でも、先生に会いたくなる。
その瞬間だけ、海斗のことが忘れられる。
なにも考えなくていいし、なにも聞こえてこない。
時間を確認して、少しだけでも先生に会いに行こうと教室を出た。
『また来たのか』
嫌そうな顔をする先生が思い浮かんで、一人クスリと笑みをこぼした。
だって、今日先生に会いに行くのはこれで2回目。
先生なら絶対に言う『暇人だな』って。
「そんなに楽しみなんだ?」
…えっ?
教室を出た瞬間に、左腕をグイッと引かれてバランスを崩した。
倒れそうになる恐怖に心臓がバクバクと暴れだした。
だけど、それだけじゃなかった。
あたしの耳を掠めたその声に、さらに上がる心拍数。
ドクドクと指先にまで伝わる心音に、冷や汗まで背中を伝う。
掴まれた腕に視線を落とすと、見覚えのある少し骨ばった指が見えた。
その大きな手を、大好きだったその手を。
間違えるはずなかった。