俺様彼氏はShy Boy?


先生のこと。

好きだといえば好き。

だけど、それは恋愛とかじゃないんだ。

でも、先生に会いたくなる。

その瞬間だけ、海斗のことが忘れられる。

なにも考えなくていいし、なにも聞こえてこない。


時間を確認して、少しだけでも先生に会いに行こうと教室を出た。


『また来たのか』


嫌そうな顔をする先生が思い浮かんで、一人クスリと笑みをこぼした。

だって、今日先生に会いに行くのはこれで2回目。

先生なら絶対に言う『暇人だな』って。


「そんなに楽しみなんだ?」


…えっ?


教室を出た瞬間に、左腕をグイッと引かれてバランスを崩した。

倒れそうになる恐怖に心臓がバクバクと暴れだした。

だけど、それだけじゃなかった。

あたしの耳を掠めたその声に、さらに上がる心拍数。

ドクドクと指先にまで伝わる心音に、冷や汗まで背中を伝う。


掴まれた腕に視線を落とすと、見覚えのある少し骨ばった指が見えた。


その大きな手を、大好きだったその手を。

間違えるはずなかった。


< 252 / 479 >

この作品をシェア

pagetop