俺様彼氏はShy Boy?


見上げた先の海斗の表情は、驚きと悲しみに歪んでいるように見えた。

だけど、あたしは動揺しないように。

海斗に掴まれていないほうの手で、スカートをギュッと握り締めて。

平静を装う。


好きじゃない。


たとえ嘘でも。

自分で言ったその言葉に心がえぐられるような痛みを伴った。

本当はまだ好きで好きで仕方ないのに。

好きって気持ちだけでは、ダメなんだってよくわかったんだ。


だからもう。


この気持ちに蓋をする。


『好きじゃない』


そう海斗に伝えることで海斗も諦めてくれるんじゃないかって。


「新しい彼女が出来たって噂、聞いたよ?」

「………」

「良かったじゃない、あたしよりも可愛いし」

「………」

「あたしよりも女らしい彼女」


海斗がその気になれる女の子でしょ?


自分の傷口に塩を塗るような自分の言葉に。

胸がジクジクと痛むのに。

それとは正反対に、あたしの表情は笑みに包まれる。


そんなあたしに海斗は何も言わなかった。

掴んでた腕は放されて、だらりと落ちる。


「じゃあ、あたし行くね。もう時間がなくなっちゃうし」


最後まで海斗から視線を逸らさなかったあたしとは違って。

海斗はもう、あたしを見てくれることはなかった。



これでいい。

これでいいんだ。


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