俺様彼氏はShy Boy?


呆然と立ち尽くす海斗を置いて、あたしは足早に保健室へと向かった。

ハアハアと息が上がるあたしを、保健室にいた先生は『どうした?』と声をかけた。


でも、その声色はたいして気にしているようには思えなくて。

視線だって、一瞬こっちを見たくらいで、今は机へと向ってる。


「先生…」

「…あ?」


なんだよ、こっちは忙しいんだよ。

そう思わせるような先生の返事に、クスリと笑みがこぼれた。

それと同時に、ポロリとこぼれた涙。


「これでよかったのかな…」

「何が?」

「もう、本当に終わっちゃった」


先生にこんなことを言ったって、まったく意味がわからないはず。

なのに、あたしの口からは勝手にそんな言葉がこぼれる。


チラリとあたしを見た先生は、フッと頬を緩めてから。


「まあ、これでも飲んどけ」


そう言って、あたしにオレンジジュースをくれる。


「…ありがと」


いつもブラックコーヒーしか飲まない先生。

午前中に来たときは、保健室にある小さな冷蔵庫には缶コーヒーとミネラルウォーターしか入っていなくて。


『オレンジがない…』


そう文句をつけるあたしに。


『あるわけないだろ』


と、冷たい視線を送ったくせに。


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