俺様彼氏はShy Boy?


そのままの状態で、どのくらいの時間が過ぎたのだろう…


数十分とかじゃなくて、ほんの数分だったと思う。

でも、雨で冷え切った身体にこの喪失感は重たすぎる。


立ち上がることすら出来なくて、身体が言うことをききそうにもない。


「…こんなところで座ってると、また風邪引くぞ」


あたしの頭上から聞こえてきた声に、ビクッと肩を震わせて。

そして、ゆっくりと顔を上げた。


その冷めた言い方にも、どこか温かみを感じる声に。

胸の中に詰まってた悲しみや辛さ、惨めさなんかが溢れてきちゃって。

さらに歪んでいく視界には、ひらりと揺れる真っ白な…白衣。


「ひでえ顔だな」


フッと漏れた笑みに、胸がぎゅーっと締め付けられた。

ゆっくりとその場に座り、あたしと同じくらいの高さまで視線を下ろした。


「…血が出てる」


そう言って触れたのは、右耳の耳たぶだった。

たぶん無理やり引っ張られたから、ピアスが外れたときにいっしょに傷つけたんだと思う。

ジンジンする痛みの正体は、それだったのかもしれない。


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