俺様彼氏はShy Boy?
「未来が意地悪だ…」
ブーッと膨れっ面で、未来を睨む。
こんなふうにあたしをからかうのはいつものことなのに。
今日の未来は、少し違ったように思えた。
「…待ってるんだけどな」
そんな未来の独り言。
あたしの耳にしっかり届いてくる。
待ってる?
それは、どういう意味なんだろう…
全然意味がわからなくて、キョトンとするあたしを未来は優しく瞳を細めて微笑んだ。
「未来?」
「比奈の、本当の気持ち聞きたいのに…肝心なところは言ってくれないのよね」
そこまで言うと、その言葉を遮るようにチャイムが鳴った。
未来はじゃあね。とヒラヒラと手を振って自分の席に戻っていった。
あたしはその後ろ姿をポカンと口を開けて見ているだけだった。
――比奈の本当の気持ち。聞きたいのに…
未来の言葉を考えてみる。
あたしの本当の気持ち…か…
それって、未来はなんのことを言ってるのだろう?
先生のこと?
海斗のこと?
それとも全然違うこと?
自分自身でもよくわからないのに、それを未来に語ることなんて出来るはずもなくて。
でも、もしかしたら何かを語ることで、心が少しでも軽くなるのかな…
なんて思ってしまう。
「…もう少し、待って」
未来の背中に向って、独り言を投げつけた。
今はまだ整理できていないことがたくさんありすぎて、上手く伝えられる気がしないから。