俺様彼氏はShy Boy?
次の休み時間。
一人で学食近くの自動販売機へと足を運んだ。
目当ては、ここにある100%のオレンジジュース。
疲れたときや、モヤモヤしたときはこれが飲みたくなる。
オレンジの甘酸っぱさが、心を爽やかにしてくれるような気がするんだ。
「…好きだな、それ」
聞き覚えのある声。
でも、今日ここで聞くには珍しい声。
「どうしたの? 先生…」
振り返ると、そこにいるのはやっぱり高藤先生で。
けだるそうに壁に寄りかかり、腕を組んであたしを見遣るその姿に苦笑い。
そんなところも海斗に似てる…と思う自分自身に笑ってしまう。
「昨日はありがとうございました」
先生に向って深くお辞儀をすると、そんなあたしを見て先生はフッと鼻で笑った。
「風邪は引かなかったようだな」
「うん。先生は大丈夫だった?」
「そんなヤワじゃねえよ」
そう言って、また笑う。
最近、よく笑ってくれるようになった先生に。
少しだけでも近づけたような気がして、それが嬉しい。
そんなあたしの気持ちがつい顔に出てしまったのか、緩んでしまった口許を見て先生は怪訝そうな表情をしていた。