俺様彼氏はShy Boy?
「おいし?」
少しだけ離れた唇、二人の間に繋がる甘さの残る透明な糸。
少しだけ時が止まったように、至近距離で見詰め合ったままだったのに。
急に我に返った海斗は、慌ててあたしから距離を取るように身体を引いて。
一瞬で真っ赤に染まった海斗の顔が、外灯に照らされてハッキリとあたしの瞳に映りこんだ。
「…真っ赤だよ?」
クスクス笑うあたしに、海斗の鋭い視線が突き刺さるけど。
そんな真っ赤な顔で睨まれても、全然怖くない。
「…かっこわるっ」
クシャクシャと前髪を掻いて、不貞腐れたように呟く海斗だけど。
「ドキドキした?」
あたしがそう聞くと、参りましたと苦笑して。
情けなく笑う海斗に、キュンと胸が疼いてしまうんだ。
あっ…その顔、見覚えがある。
海斗の部屋でも、あの日、あたしの部屋で一晩一緒にいたときも、あの非常階段でも。
「言っただろ、俺には余裕ねぇって」
そうか、そうだったんだ。
そんな顔をするときは、いつもあたしをさりげなく突き放したときだった。
それって…自分の欲求を我慢しているとき。
あたしに触れたくても触れられないって葛藤しているときだったのかもしれない。