俺様彼氏はShy Boy?
今の状況を知らないミッチャンのあまりにも明るすぎる声に。
軽く溜息が出そうになったのを飲み込んだ。
「……何、連絡取り合ってんだよ」
あたしに背中を向けた海斗の呟きはあたしには届かない。
『比奈?』
「あ、うん。どうしたの?」
『拓也に聞いたんけど、比奈も一緒に遊園地行くってホント?』
「う、うん」
『マジで!?』
声を弾ませ、楽しそうに話すミッチャンの声は。
きっと海斗にも聞こえたはず。
何もこのタイミングでかけてこなくても……と。
勝手なことを思ってしまう。
背中を向けてしまった海斗の表情はこちらからは見えない。
だから余計にこの場の雰囲気が険悪なもののような気がしてしまう。
「…海っ」
何も言わすに帰っていってしまう海斗の後ろ姿に手を伸ばすけれど。
海斗に触れることはなかった。
「あっ」
待って、海斗。
そう口にしようとして、ミッチャンの声にその言葉を飲み込む。
『どうした?』
「ううん、何でもない…」
小さくなっていく海斗の背中を眺めながら、チクチクと胸に棘が刺さったような痛みを感じる。
ケータイの向こうで楽しそうに話すミッチャンの言葉は、殆んど覚えていなくて。
「ゴメン…切るね」
彼の返事を聞く前に、通話を終了させてしまう。
だけど、その頃にはもう。
海斗の背中は、ここからは見えなかった。